小説:第4話 厄災の星

遊☆戯☆王  LEGACY

第4話 厄災の星

《青眼の白龍》が公の場に姿を現した翌日。

ネオ童実野シティでは、また一つ奇妙な事件が起きていた。

市外縁部にある旧モーメント観測区画。

稼働を停止して久しい施設から、デュエルエネルギーの異常値が検出された。

だが、それはシンクロ召喚の波形ではなかった。

融合でもない。

この世界のデュエルディスクが分類できない、黒いノイズ。

* * *

「なんで私が行くんですか」

蒼は、心底嫌そうに言った。

旧市街の老人――月代は、端末から目を上げない。

「君の《スターダスト・ドラゴン》が反応した」

「それだけで?」

「それだけで十分だ」

「十分じゃないです」

隣ではミナが落ち着かない様子で立っていた。

「私も行く」

「ミナは来ないで」

「なんで?」

「危ないかもしれないから」

「蒼は行くのに?」

「……だから嫌なんだけど」

月代が短く言う。

「警備局には連絡してある。君は確認するだけでいい」

蒼はため息をついた。

「確認だけですよ」

* * *

夕刻。

旧モーメント観測区画。

錆びたフェンスの向こうに、一人の男が立っていた。

見慣れない服。

見慣れないデュエルディスク。

そして何より――そのEXデッキのカード背面から感じる、異様な圧。

蒼が足を止める。

「あなた、ここで何してるんですか」

男は振り返った。

「この世界のデュエリストか」

「質問に答えてください」

男は蒼のデュエルディスクを見る。

「白い龍。星屑の龍。二つの反応が同じ個体に重なっている」

蒼の表情が変わる。

「……何を知ってるの」

「確かめればいい」

男のデュエルディスクが起動した。

黒い光が走る。

「デュエルで」

蒼は数秒黙った。

逃げてもいい。

本来なら警備局を待てばいい。

けれど、男の背後にあるモーメント観測装置はすでに干渉を受けていた。

このまま放置する方が危険だ。

「……分かりました」

蒼もデッキをセットする。

「ただし、終わったらちゃんと説明してください」

「勝てたならな」

AOI LP 8000  INVADER LP 8000

* * *

先攻は侵入者。

最初に現れたのは《ゴルゴニック・アンブラル・ホラー》。

続いて《シャイニング・アンブラル・ホラー》。

同じレベルのモンスターが並ぶ。

蒼は盤面を見る。

「チューナーは?」

男が笑う。

「必要ない」

「……必要ない?」

「二体のモンスターを――重ねる」

二体のモンスターが黒い光へ変わった。

星が足し合わされない。

緑の光輪も現れない。

二つの光が上下に重なり、中心に暗い渦が生まれる。

蒼のデュエルディスクが警告音を鳴らした。

UNKNOWN SUMMON METHOD.

「なに、それ」

男は初めて、その言葉を告げた。

「エクシーズ召喚」

黒いカードがEXデッキから現れた。

カード上部には、蒼が知るレベルの星がない。

代わりに記されているのは――ランク。

「ランク……?」

侵入者の展開は止まらない。

《バリアンズ・ホープ》。

そして《RUM-バリアンズ・フォース》。

エクシーズモンスターの上へ、さらに黒いカードが重なっていく。

《CNo.104 仮面魔踏士アンブラル》。

さらに、《CX 冀望皇バリアン》。

同じモンスターを素材として抱え込み、ランクを上げ、別の黒い怪物へ変えていく。

蒼の知っている召喚法とは、根本から違う。

「星を……足さない」

「そうだ」

「レベルもない」

「我々には不要だ」

侵入者は複数のエクシーズモンスターと伏せカードを並べた。

「ターンエンド」

* * *

「私のターン。ドロー」

蒼は手札を見る。

《煌々たる逆転の女神》。

《幻魔の扉》。

《ダイナレスラー・パンクラトプス》。

《拮抗勝負》。

《ブルーアイズ・ジェット・ドラゴン》。

そして、今引いた一枚。

正面には、未知のエクシーズ盤面。

蒼はメインフェイズでは動かなかった。

「バトルフェイズ」

侵入者の眉が動く。

「モンスターはいないぞ」

「だからです」

蒼は手札の罠を掲げた。

「《拮抗勝負》」

自分フィールドにカードが存在しないため、手札から発動。

相手フィールドのカードを一枚だけ残し、それ以外を裏側で除外させる。

黒い盤面が一気に削られていく。

「なるほど。この世界にも、盤面を崩す技術はあるか」

「普通です」

「その割には、迷いがない」

「考えてる時間が長いと、人が集まるので」

「……何の話だ」

メインフェイズ2。

蒼は《機光竜-サイバー・ドラゴン》を特殊召喚する。

ATK 2100。

侵入者は残したエクシーズの効果で応じる。

サイバー・ドラゴンは盤面から処理された。

蒼は墓地と相手のEXデッキ使用回数を確認する。

このターンまでに、侵入者はEXデッキから何体ものモンスターを特殊召喚している。

「《超電磁タートル》を召喚」

ATK 0/DEF 1800。

侵入者が笑った。

「それで何をする」

「……分かりません」

「何?」

本当に、蒼にも分からなかった。

その瞬間。

EXデッキが震えた。

* * *

蒼のデュエルディスクに、存在しないはずの十五枚目が表示された。

黒。

さっきまでそこにはなかった色。

蒼は息を止める。

「……黒い、カード」

侵入者の顔から、初めて余裕が消えた。

「待て」

蒼の指がカードへ触れる。

カード名が表示された。

《厄災の星ティ・フォン》。

ランク12。

ATK 2900/DEF 2900。

「ランク……12?」

デュエルディスクが召喚条件を解析する。

相手がEXデッキから二体以上を特殊召喚したターン、またはその次のターン。

自分フィールドで最も攻撃力が高いモンスターの上に重ねて、エクシーズ召喚できる。

蒼は《超電磁タートル》を見る。

そして、侵入者を見る。

「これも……重ねればいいの?」

「やめろ」

初めて、男の声に焦りが混じった。

「そのカードはどこで手に入れた」

「さあ?」

「あり得ない」

「・・・ふ」

「《超電磁タートル》に重ねる――エクシーズ召喚」

「現れて。《厄災の星ティ・フォン》」

黒い空間がフィールドの足元に開いた。

《超電磁タートル》が光となって、その中心へ沈む。

だが、侵入者のエクシーズとは違った。

黒いのに、同じ黒ではない。

夜空そのものを切り取ったような暗さの中から、巨大な異形が姿を現す。

ランク12。

ATK 2900。

侵入者が呟いた。

「……違う」

「何が?」

「そのエクシーズは、我々のものではない」

蒼はティ・フォンを見る。

《厄災の星ティ・フォン》がエクシーズ召喚されている限り、攻撃力3000以上のモンスターは効果を発動できない。

そして一ターンに一度、エクシーズ素材を一つ取り除き、フィールドのモンスター一体を手札へ戻せる。

「素材を一つ取り除く」

《超電磁タートル》が光となってティ・フォンから外れる。

「あなたのモンスターを戻します」

巨大なエクシーズモンスターの一体が盤面から消える。

侵入者は黙ってそれを見た。

蒼はターンを終える。

* * *

次の攻防でも、侵入者はエクシーズを止めなかった。

《ゴルゴニック・アンブラル・ホラー》を再び展開し、黒いカードとRUMを使って盤面を作り直していく。

だがティ・フォンがいる限り、高打点のエクシーズは思うように効果を使えない。

侵入者は攻撃とランクアップを織り交ぜ、ティ・フォンを突破しようとする。

「やらせはしない!!墓地の超電磁タートルの効果発動!!このターンのバトルを強制終了する!!」

そして蒼の次のターン。

ティ・フォンが攻撃する。

相手の攻撃力500のモンスターを撃破。

差は2400。

INVADER LP 8000 → 5600。

侵入者が初めて大きくよろめいた。

「エクシーズを……使ったこともない人間が……!」

 

メインフェイズ2。

蒼は《スタージャンク・シンクロン》を召喚。

墓地のカードを使って星を揃える。

ここからは、蒼が知っている召喚法だった。

「チューニング」

緑の光輪。

黒い渦ではない。

星が一列に並ぶ。

「シンクロ召喚。《スターダスト・ドラゴン》」

白銀の龍がティ・フォンとは正反対の光を放つ。

黒い星と白い星。

侵入者は二体を見比べた。

「一人のデュエリストが、両方を……」

* * *

侵入者のターン。

《セブンス・アセンション》。

さらにバリアンの名を持つ魔法カード。

《RUM-クイック・カオス》。

一度崩された黒い盤面が、また形を変える。

エクシーズモンスターの上へエクシーズを重ねる。

ランクを上げ、効果を引き継ぎ、別の怪物へ。

蒼も無傷では済まない。

効果によるダメージを受け、ライフを削られる。

それでも、盤面を見る目は変わらない。

「私のターン」

《マジックカード「死者蘇生」》を発動した。

墓地へ送られたスターダスト・ドラゴンを呼び戻す。

「さらに《ジェット・シンクロン》を通常召喚!

レベル8のモンスターに、レベル1の《ジェット・シンクロン》をチューニング」

九つの星が並ぶ。

「シンクロ召喚。《電脳堺狐-仙々》」

ATK 2800。

仙々がフィールドへ降り立つ。

侵入者が黒いカードを使うなら、蒼は自分が知る星で対抗する。

《電脳堺狐-仙々》が攻撃を通し、侵入者のライフをさらに削る。

INVADER LP 5200 → 2900。

* * *

それでも侵入者は倒れない。

《RUM-クイック・カオス》。

《No.104 仮面魔踏士シャイニング》。

バリアンの魔法。

何度盤面を崩しても、黒いカードは姿を変えて戻ってくる。

侵入者のライフは2500。

蒼のライフは6700。

ライフこそ優勢なものの蒼のフィールドには《電脳堺狐-仙々》のみ。

対して侵入者の場には攻撃力7000のカオスバリアンドラゴン、そして攻撃力3000のアンブラル・ヴィクトリー。仙々はたおされ、場はがら空きとなった。

「これで終わりだ。モンスターで攻撃!!」

その瞬間、侵入者のすべてのカードが消え去った

信じられない光景に侵入者は言葉を失った

「な・・・何がおきた・・・俺のモンスターたちはなぜ消滅した!?」

「それはこのカードが発動したからよ」

おもむろに墓地のカードを相手に見せる。

「このカードは煌々たる逆転の女神。場にカードがなく、手札にこのカード1枚のみの場合、このカードを捨てて発動できる。相手のフィールドのカードをすべて破壊する。」

「な、なんだと!?そんな馬鹿な!!」

「それだけじゃない!!この効果には続きがある。相手のカードを破壊したのちデッキからモンスターを一体特殊召喚!  きて!!《ブルーアイズ・ジェット・ドラゴン》!!!」

ATK 3000。墓地には青眼の白龍が眠っていた。

「こんなことが・・・く、、だが、まだ私はターンは終わってはいない。」

侵入者は手札をみる。この状況を打破できるカードはないが次のターンさえしのげれば・・

そう考え、行動にうつす

「ゴルゴニックアンブラルの効果!!このカードを守備表示で特殊召喚!!更に伏せカードを3枚ふせてターン終了!!」

汗が地面へ滴る。それは焦りだった。その隙を蒼は見逃さなかった

 

「私のターン!・・・あなたにはもう手は残されていないようね。終わらせてあげる。墓地のモンスターの効果を発動!!」

《電脳堺狐-仙々》、自らの効果で戦線へ戻る。

二体のモンスターが並んだ。

「そ、そんな・・・」

侵入者のライフ――2500。

蒼は盤面を確認する。

伏せカードはあるものの、それがブラフだと見抜いていた

「バトル」

* * *

《ブルーアイズ・ジェット・ドラゴン》が翼を広げる。

白銀の噴射光が、黒いフィールドを真っ直ぐに切り裂いた。

「ダイレクトアタック」

「くっ!!」

青白い衝撃が男を飲み込む。

3000ダメージ。

INVADER LP 2500 → 0。

WIN――AOI

* * *

デュエルフィールドが消える。

蒼はすぐにEXデッキを開いた。

そこに、黒いカードがある。

《厄災の星ティ・フォン》。

幻ではない。

デュエルが終わっても消えていない。

「……これ、どうしたらいいんだろ」

侵入者が立ち上がる。

「返せ」

「あなたのじゃないんでしょ」

男は言葉に詰まった。

「そのカードは、この世界に存在するはずがない」

「あなたたちのカードも、昨日まで存在してなかったと思うけど」

「同じではない」

蒼はティ・フォンを見る。

「じゃあ、何なの」

侵入者は答えなかった。

代わりに、遠くから警備局のサイレンが聞こえる。

男の周囲に黒い亀裂が走った。

「待って!」

蒼が手を伸ばす。

「次に会う時まで、そのカードを持っていろ」

「?」

男の姿が亀裂の向こうへ消える。

「……わけがわからないわ」

蒼は小さく呟いた。

* * *

数分後。

月代は通信越しにティ・フォンのデータを見ていた。

「ランク12……」

「知ってるんですか」

「いや」

月代は即答した。

「少なくとも、我々の記録にはない」

「・・・・」

蒼は黒いカードをデッキケースへ入れる。

白いシンクロカードの隣に。

《スターダスト・ドラゴン》。

《ブラック・ローズ・ドラゴン》。

そして黒い《厄災の星ティ・フォン》。

三枚は、まるで最初からそこにいたように並んでいた。

* * *

別の場所。

侵入者が戻った空間には、複数の影が待っていた。

「敗れたか」

「問題はそこではない」

男は言う。

「あの世界の少女が、エクシーズを召喚した」

空気が止まる。

「《厄災の星ティ・フォン》」

その名を聞いた瞬間、一人だけが顔を上げた。

「……そのカードは」

「知っているのか?」

返事はなかった。

ただ、闇の奥で何かが動いた。

 

続く

 

参考動画:

 

 

 

小説:第三話 青眼の咆哮

遊☆戯☆王 LEGACY

第3話 青眼の咆哮

《スターダスト・ドラゴン》。

《ブラック・ローズ・ドラゴン》。

二枚のカードを受け取ってから一夜。

瀬名 蒼は、机の上に並べた二頭の龍を見つめていた。

スターダストは、すでに一度だけ使った。

ブラック・ローズはまだ呼んでいない。

そして、その二枚から少し離れた場所に、もう一枚。

《青眼の白龍》。

それだけは、誰かから昨日託されたものではない。

幼いころから、ずっと自分のデッキにいた。

「……三枚ともドラゴンなんだ」

蒼は小さく呟く。

意味があるのかどうかは分からない。

分からないまま、三枚をデッキケースへ戻した。

* * *

翌日。

前日のデュエル映像は、蒼の希望とは正反対に広がっていた。

大会優勝者を倒した無名の女子高生。

しかも、今度は八十年前の伝説として知られる《スターダスト・ドラゴン》まで使用した。

「蒼、再生数すごいことになってる」

「見たくない」

「コメントもすごいよ」

「読みたくない」

「『あの子誰?』って」

「知らない人ですって返して」

「無理あるよ!」

ミナが端末を閉じる。

「あと、そこでデュエルディスクつけた人がずっとあそこでまってるわよ」

蒼の動きが止まった。

「誰?」

「さあ、蒼とデュエルしたいんじゃない?あなた、もう有名人よ」

「帰る」

「どうやって?」

「……帰る」

「裏門にも人いる」

「なんで」

「そりゃあね」

蒼は机に額をつけた。

* * *

放課後、校内のデュエルコート。

相手は、街の大会でも何度か上位に入っているHERO使いだった。

神代ヒカル。十八歳。

第1話の黒城レンのような悪人ではない。

純粋に、強いデュエリストと戦いたい。

そして、話題になった蒼の実力が本物か確かめたい。

「悪い。人が集まるとは思わなかった」

ヒカルが観客席を見て苦笑する。

「……帰っていいですか」

「それは困る」

「私も困ってます」

ミナが後ろから小声で言う。

「蒼、ここまで来たらもうやるっきゃないよ」

「……はぁ」

蒼がデッキをセットする。

スタンドデュエル。

通常のフィールド。エクストラモンスターゾーンも存在する現代ルール。

「デュエル!」

 

 

AOI LP 8000  HIKARU LP 8000

先攻はヒカル。

HEROデッキの展開は速かった。

《V・HERO ファリス》から動き、HEROを墓地へ送り、後続を呼ぶ。

《V・HERO》の効果を連ね、さらに融合へ。

蒼は無言で一枚ずつ確認していく。

《E・HERO サンライザー》。

そして、《C・HEROカオス》を展開し、魔法・罠も整える。

《マスク・チェンジ》まで構えられた。

ヒカルは盤面を作り終えると、蒼を見る。

「さあ、どうする?」

 

蒼のターン。

「ドロー」

手札を確認。

まず《ダイナレスラー・パンクラトプス》を特殊召喚した

「《ダイナレスラー・パンクラトプス》で《C・HEROカオス》を破壊。これはフィールドに残る効果ではないため、《C・HEROカオス》では無効にできない!」

「ふ、だが、破壊される前にこのカードを発動!」

ヒカルは《マスク・チェンジ》を発動。

HEROの姿が変わる。

「こい!ダーク・ロウ!!これで君のカードはすべて除外されるぜ」

「・・・。狙い通りよ」

「なんだと?」

「《幻魔の扉》を発動。相手のモンスターを破壊!そして相手の墓地から召喚条件を無視してモンスターを特殊召喚する! 私が特殊召喚するのは、あなたの墓地の《C・HEROカオス》!」

「なんだって!? く、本来は《C・HEROカオス》は融合でしかだせないというのに。そんな方法で」

その一枚で盤面の流れが大きく変わった。

「ダイレクトアタック!!」

ヒカルのLP:2900 蒼LP:4000

「モンスターをセット、さらにリバースカードを1枚セットしてターンエンド」

蒼の手札は1枚になった

「く、だが、俺のターン!《HERO ALIVE》を発動!ライフを半分にして・・」

「そのカードはとめます。《C・HEROカオス》の効果で無効にします」

「ふ。リバースカードオープン!《Favorite Contact》

これにより、《E・HERO サンダー・ジャイアント-ボルティック・サンダー》を特殊召喚。効果発動!!

」

「く・・効果は発動させない。リバースカードオープン!《ブレイクスルースキル》!」

「やるな、だが、手札から魔法発動!《ミラクル・フュージョン》!!現われよ!サンライザー!!」

サンライザーの効果でさらに《ミラクル・フュージョン》を手札に加える。その動きには全く隙がない。

「もう一度《ミラクル・フュージョン》を発動!墓地のカードを素材に融合!こい《E・HERO フレイムウィングマン-フレイムシュート》!!」

「く・・」

もう蒼のフィールドに対応できるカードは残されていなかった

* * *

「さすがに、ここまでかな」

観客席の誰かが言った。

サンライザーとフレイムウィングマンの攻撃で蒼のフィールドは空になった

手札も、ほとんど残っていない。

残った一枚。

「ふふ・・・これで攻撃が終わったと思ったら大間違いさ。《E・HERO フレイムウィングマン-フレイムシュート》の効果発動!。バトルフェイズ中の融合召喚を可能にする!

《E・HERO フレイムウィングマン-フレイムシュート》と《E・HERO サンライザー》を融合!!

こい!《F・HEROシャイニングフレアウィングマン》!!この効果で墓地のカードを回収し、カードをドロー!!」ヒカルの手札は4枚になった。さらにモンスターの追撃がくる

ヒカルのモンスターが直接攻撃を宣言した。

蒼はその一枚を見た。

「……来た」

――その瞬間。

蒼は手札を掲げた。

「《煌々たる逆転の女神》」

攻撃を受ける直前。

女神の光がフィールドへ広がる。

ヒカルの表情が変わった。

「そのカード……!」

相手フィールドを巻き込むように光が走る。

そして、蒼のデッキが反応した。

一枚のカードが、ゆっくりとせり上がる。

その瞬間だけ。

観客席のざわめきが、完全に消えた。

蒼自身も、そのカードを見た。

何百回も見てきたカード。

それでも、人前でこうして呼ぶのは初めてだった。

白い光が天井を貫く。

巨大な翼。

白銀の身体。

そして、冷たいほど青い眼。

何十年の時を経ても、デュエリストなら知らない者はいない。

伝説の名。

《青眼の白龍》。

「来て――《青眼の白龍》」

咆哮。

ホログラムのはずの風圧に、観客たちが思わず顔を覆った。

フィールドの光が一瞬だけ白に染まる。

ATK 3000。

ミナが声を失う。

ヒカルも、数秒間言葉が出なかった。

「……本物、なのか」

ヒカルはデュエルへ意識を戻した。

「続けよう」

「うん」

* * *

青眼が出ても、デュエルは終わらなかった。

ヒカルはHEROを展開し直す。

そのターン、ヒカルはサーチした《Favorite Contact》を含めたカードを3枚セット。場にはエアーマンと《ミラクル・エクスクルーダー》

「私のターン!!いまドローした《カードガンナー》を召喚。効果でデッキから3枚墓地に送ります」

その中には超電磁タートルが含まれていた。

「私もリバースカードオープン《Favorite Contact》!これで再び《C・HEROカオス》を特殊召喚。さらにもう一枚《超融合》!!を発動!!これにより、場の《ミラクル・エクスクルーダー》と《E・HEROエアーマン》を融合!!3度こい!《E・HERO サンライザー》。

ふふ・・・俺は見逃してないよ。君の墓地に超電磁タートルがいったことを。

エクスクルーダーの効果発動!!このカードが墓地にいったとき、相手墓地のカードを除外!!」

超電磁タートルが除外された。

青眼の前に、HEROの融合体が立ちはだかった。

サンライザーの効果で攻撃力が上がる。《C・HEROカオス》の攻撃力は3400となった。

蒼は墓地を見る。

「墓地の《ブレイクスルー・スキル》を除外。これによりサンライザーの攻撃力上昇効果は無効になる」

相手モンスターの効果を無効化。

上昇していた攻撃力が戻る。

「バトル」

青眼が前へ出る。

白い閃光。

《C・HERO カオス》と《青眼の白龍》が正面から激突した。

二体は同時に砕ける。

観客席から悲鳴に近い声が上がった。

だが蒼は止まらない。

「《霊廟の守護者》の効果」

ドラゴン族モンスターが墓地へ送られたことで、《霊廟の守護者》が特殊召喚される。

そして青眼が、再び蒼の手札へ戻った。

蒼は戻ってきたカードを見つめる。

「おかえり・・。されに、カードガンナーで自爆特攻!!」

カードガンナーが破壊され、墓地へ行ったと同時に効果が発動した。1ドロー。このドローは手札が青眼しかいない蒼にとっては重要だった。

* * *

「メイン2!!カードガンナーで墓地に送られた《ジェット・シンクロン》の効果発動!!」

「く、、手札がない状況で特殊召喚できないと思っていたのが裏目にでたか、エクスクルーダーで除外すべきはそちらだったか」

蒼は手札を見る。

そこに戻ってきたばかりの《青眼の白龍》。

ほんの一瞬、指が止まる。

ミナが気づく。

「蒼……?」

蒼は青眼を墓地へ送った。

「《ジェット・シンクロン》の効果。手札を一枚捨てて、墓地から特殊召喚」

青眼を、コストとして。

観客席がまたざわめく。

「あの青眼を……捨てた?」

「伝説のカードを?」

カードの価値ではなく、今このデュエルで必要な一手だけを見ている。

フィールドには《霊廟の守護者》と《ジェット・シンクロン》。

「2体のモンスターでシンクロ召喚!!」

緑の輪が二体を包む。

「きて。《ジャンク・スピーダー》!」

白い機体がエクストラモンスターゾーンへ現れる。

「シンクロ召喚に成功した効果。デッキからレベルの異なる『シンクロン』チューナーを特殊召喚」

《アンノウン・シンクロン》。

《スタージャンク・シンクロン》。

《スターダスト・シンクロン》。

盤面へ複数のチューナーが並ぶ。

星が、もう一度動き始める。

ヒカルの顔から余裕が消えた。

「まだ伸びるのか……」

「《フルール・ド・バロネス》をシンクロ召喚!!」

白銀の花騎士がフィールドへ降り立った。

* * *

蒼の場にはフルール・ド・バロネス》、そして呼び出された《スタージャンク・シンクロン》。そしてさっきカードガンナーの効果でドローしたカードをセットした。

「ターン終了」

蒼の盤面に、再び制圧力が戻る。

ヒカルの場には、今は発動タイミングのない魔法カード、《マスク・チェンジ・セカンド》のみ

手札は0。

ヒカルはしばらく、何も言わなかった。

そしてデュエルディスクへ手を置く。

「……参った」

投了。もうすでに、万能無効を行使できる《バロネス》がフィールドに居る以上ヒカルにはもう打つ手はなかった

システム表示が切り替わる。

WIN――AOI

* * *

観客席が爆発したように騒がしくなった。

けれど蒼は勝利よりも先に、自分の墓地を見ていた。

《青眼の白龍》。

「蒼!」

ミナが駆け寄る。

「あれ、本当に青眼なの!?」

「うん」

「うん、じゃない!あなたなにもの!?」

「昔から持ってるけど」

「昔から!?」

「家にあったから」

「世界に3枚しか無いカードがどうして家にあるのよ!?」

ヒカルが近づく。

「あの青眼……認証通ってたよな」

「認証?」

「いや、何でもない」

ヒカルは笑った。

「それより、強かった。またやろう」

「人がいないところなら」

「そこ条件なんだな」

* * *

その夜。

第七地区のカード認証ネットワークに、新しい記録が残った。

《青眼の白龍》。

ORIGINAL AUTHENTICATION:VALID.

人前で使用された、世界に三枚とされるオリジナルの一枚。

その情報は、通常の大会記録より上位のセキュリティレイヤーへ送られる。

そして、ある人物の端末に通知が届いた。

表示された名前は――瀬名 蒼。

画面の前の人物は、しばらく動かなかった。

「……やはり、残っていたか」

* * *

さらに遠く。

ネオ童実野シティの外。

黒いカードを持つ男たちは、まだ街へ姿を現していない。

一人が都市のデュエルログを眺める。

白い龍。

白銀の星屑。

そして、瀬名 蒼。

「面白い」

男は黒いカードを指で弾いた。

「まだ会う必要はない」

別の男が尋ねる。

「では?」

「もう少し、この世界の星を見よう」

黒いカードが闇へ消える。

 

続く

参考動画:

 

 

 

 

 

小説:第二話 白銀の継承者

遊☆戯☆王  LEGACY

第2話 白銀の継承者

――その龍は、八十年の眠りから目を覚ます。

翌朝。

瀬名 蒼が教室に入った瞬間、空気が止まった。

正確には、止まったように感じた。

数人が端末を伏せる。別の数人は、あわてて画面を隠す。

ミナだけが、隠すことを最初から諦めていた。

「蒼」

「なに」

「昨日の動画、もう七万再生いってる」

「人違いです」

「映ってるD・ホイール、どう見ても蒼のだよ」

「似てるだけ」

「制服も?」

「似てるだけ」

「顔も?」

蒼はしばらく黙った。

「……似てるだけ」

ミナは机に突っ伏した。

「無理があるよ!」

黒城レン。大会優勝経験のある人気デュエリスト。

その彼が、ファンからカードを巻き上げるようなデュエルをしていたこと。

そして、それを止めた無名の女子高生が、レンを一撃で沈めたこと。

映像は一晩で広がった。

蒼がいちばん嫌う形で。

* * *

放課後。

逃げるように校門を出た蒼の端末が震えた。

差出人は祖母。

本文は一行だけだった。

『旧市街の月代邸へ行きなさい』

「……なにそれ」

既読をつけた瞬間、次のメッセージが届く。

『行きなさい』

「・・・圧が強い」

旧市街は、ネオ童実野シティの中でも古い区画だった。高架レーンから降りると、現代的な光は急に少なくなる。モーメントの送電塔は見えるのに、街並みだけが八十年前で止まっているようだった。

月代邸は、その奥にあった。

古い屋敷。

呼び鈴を押す前に、扉が開く。

白髪の老人が立っていた。

「瀬名 蒼だね」

「……はい」

「月代 玄一だ。君の祖母とは、少し古い付き合いがある」

「何の用ですか」

「そう警戒せずともよい」

「いえ、単に人の家、苦手なので」

老人は笑った。

* * *

地下室には、八十年前の映像資料が並んでいた。

赤いD・ホイール。

白銀の龍。

《スターダスト・ドラゴン》。

蒼は思わず足を止めた。

「不動遊星」

老人が言う。

「この街で知らない者はいない名だ」

「・・・そうですね」

「おや、興味あるのかい?」

「……少しだけ」

たどりついた机の上に、二枚のカードが並べて置かれていた。

一枚は、白銀の龍。

《スターダスト・ドラゴン》。

もう一枚は、黒い薔薇をまとった赤き龍。

《ブラック・ローズ・ドラゴン》。

蒼は二枚を見たまま、しばらく動かなかった。

「なぜこの2枚がここに・・・?」

「その二枚を、君に預けようと思う」

「え、いりません」

即答だった。

老人は笑わなかった。

「なぜだい?」

「有名すぎるから」

「君らしい答えだけど、そうもいかない」

「・・・どういう意味ですか?」

「今後、このカードたちは狙われ、悪用される可能性があるからさ」

蒼は眉をひそめる。

老人は二枚へ視線を落とした。

「これらは今となっては強いカードではない。勝つためだけなら、昨日の件から察するにいまでも十分だろう。だが、これらには精霊の力がやどっている」

「……精霊?」

「そう。そして君は精霊を感知することができるだろう?君の血縁と代々受け継がれている青眼の白龍はきっても切れない縁がある。そして君はそれを大事にもっている」

「どうしてそれを」

「私も精霊がみえるからね。みればわかるよ。それに昨日のデュエルさ。あなたに託していいと確信した。君ならこのカードたちも安心できるだろう」

老人は《スターダスト・ドラゴン》と《ブラック・ローズ・ドラゴン》を、同時に蒼の前へ押し出した。

「この二体は、別々の道を歩んだ者たちから受け継がれてきた。だが今は、君のところへ行きたがっている」

蒼はためらいながら、まず《スターダスト・ドラゴン》に触れた。

わずかに温かい。

続いて《ブラック・ローズ・ドラゴン》を手に取る。

こちらは、指先に微かな棘のような感覚を残した。

* * *

屋敷を出たとき、空はもう暮れかけていた。

D・ホイールへ向かう蒼の前に、一人の男が立っていた。

見覚えがあった。たしか黒城レンの配信チームに出入りしていたプロ志望のデュエリストで、堕天使とデスピアを混ぜた融合デッキを使うことで知られていた。

「君は僕たちを敵に回した。あの動画で僕たちの名声は地に落ちた」

「知りませんよ。自業自得でしょ」

レイジはデュエルディスクを展開した。

「レンを倒した無名の子。君を倒して僕がチームの名声を取り戻す!!」

「デュエルはしません。帰ります」

「逃げるのか?」

蒼は黙ってデッキケースを開いた。

「その言い方、流行ってるんですか」

ため息がでた。

「ずるい言い方ですね」

二人のディスクが同時に起動する。

旧市街の路面に、スタンドデュエル用フィールドが展開された。

エクストラモンスターゾーンが青く光る。

蒼のEXデッキに、さっき預かった《スターダスト・ドラゴン》と《ブラック・ローズ・ドラゴン》が滑り込む。

本人はまだ、どちらを使うつもりもなかった。

「デュエル」

 

 

AOI LP 8000  REIJI LP 8000

先攻はレイジ。

彼の動きは、昨日の黒城レンよりさらに無駄がなかった。

《デスピアの導化アルベル》。

そこから《烙印劇城デスピア》へつなぎ、融合の舞台を作る。

さらに見慣れない英字名の魔法――《Darklord Dance》。

闇の羽根がフィールドを包み、デスピアと堕天使のカードが一つの舞台へ重なっていく。

現れたのは、三体。

レベル8、ATK2800/DEF2300の大天使クリスティア。

中央にはレベル12、ATK5000/DEF4000まで膨れ上がった巨大な融合体。

そして右には《赫灼竜マスカレイド》――ATK2500/DEF2000。

「《マスカレイド》がいる限り、君は効果を使うたびにライフを払う」

レイジが言う。

「昨日みたいに好き勝手動けると思わないことだ」

蒼は盤面を見た。

三体の大型モンスター。

墓地に落ちた堕天使カードによるフィールドのカードの破壊効果。

おまけにクリスティアの効果で特殊召喚は封じられた

相手のライフは展開の代償で7000にはなったもののまだ潤沢だった。

こちらはまだ8000。

「ターンエンドだ」

蒼の手札は五枚。

《禁じられた一滴》。

《アンノウン・シンクロン》。

《カードガンナー》。

《サイクロン》。

《ダイナレスラー・パンクラトプス》。

ドロー。

《ジェット・シンクロン》。

蒼はすぐには動かなかった。

動けば、巨大な融合体と《マスカレイド》に押し潰される。

だが、突破口はあった。マスカレイドは利用できる。

「速攻魔法、《禁じられた一滴》」

手札から《サイクロン》と《ジェット・シンクロン》を墓地へ送る。

「コストに魔法とモンスターを送ったので、相手は同じ種類のカードでこの発動にチェーンできません。対象は二体」

レイジの左のクリスティアと、中央の巨大融合体の力が半分へ落ち、効果も封じられる。

これで墓地の堕天使カードを発動できなくなった。

同時に《マスカレイド》の炎が蒼を焼く。

LP 8000 → 6800。

「痛いですね」

「マスカレイドを無効にしなかったのはミスだな!さっき説明してやったことをわすれたのか?せっかく無効カードをにぎっていたというのに!」

 手札が大きく削られている蒼の残りのカードをみて、そこから巻き返せるわけがないと思ったレイジは勝利を確信した

だが、かまわず蒼は手札のカードに手をのばした。

「相手フィールドにモンスターがいて、自分フィールドにモンスターがいない場合、《アンノウン・シンクロン》は手札から特殊召喚できます」

小さな黒いチューナーが場へ出る。

さらに。

「相手フィールドのモンスター数が自分より多いので、《ダイナレスラー・パンクラトプス》を特殊召喚」

巨大な恐竜戦士が現れた。

「通常召喚。《カードガンナー》」

赤い機械兵が場に立つ。

「《カードガンナー》の効果。デッキの上から三枚を墓地へ送り、このターン攻撃力を上げます」

三枚のカードが墓地へ落ちる。

また《マスカレイド》が蒼のライフを削った。

「ばかめ!ライフがまた削られる!いや、まて、レベル11・・まさか、昨日のカードを・・・!?」

LP 6800 → 6200。

 そう、だが、今のまま召喚してもライフ差が小さすぎて相手のライフにはとどかない。

 「さあ、召喚してみろよ。次のターンで破壊してやる。そのカードはライフが逆転した瞬間に耐性をうしなうのだろう?」

「・・・」

そう言うからには次のターン、サイコエンドを出しても攻略されるのだろう。

だが、蒼のデッキには今この状況で出せるカードはサイコエンドパニッシャーとさっき預かったスターダスト・ドラゴン、アームズ・エイドしか選択肢にない。

蒼は表情にこそ出ないが、この状況を打破する良い突破口を見いだせずにいた。

レベル7の《パンクラトプス》。

レベル1チューナー《アンノウン・シンクロン》。

レベル3の《カードガンナー》。

 

 

 

その時、エクストラデッキのカードが光った。そのカードを取り出すと、白紙のカードがあった

「な、なに?このカード。なぜ私の知らないカードが紛れ込んでいるの?しかも、私のエクストラデッキは13枚だったはず。14枚目・・・? でも、私にはこのカードが秘めている力がわかる。

私は・・・このカードと精霊たちを信じる!! いくわよ!

レベル7の《ダイナレスラー・パンクラトプス》に、レベル1チューナー《アンノウン・シンクロン》をチューニング」

緑の光輪が、恐竜戦士を包む。

七つの星と一つの星。

八つの光が重なった瞬間、蒼のEXデッキが強く輝いた。

「……何だ?」

取り出されるはずのないカードが、せり上がる。

それは《スターダスト・ドラゴン》ではなかった。

白いカード。

しかし、そこに描かれた龍は、明らかに星屑の系譜を持っていた。

「いきます!!シンクロ召喚」

蒼の声が、自分でも驚くほど冷静だったがそのカードの正体を蒼は知っていた。

「《アクセルシンクロ・スターダスト・ドラゴン》」

白銀に近い龍が、旧市街の空へ翼を広げる。

レイジが目を見開く。

「す、スターダストだと!?なぜお前が持っている!?いや、少し違うのか?」

「カードたちが答えてくれたのよ」

効果を発動する。

《マスカレイド》の炎がさらにライフを奪った。

LP 6200 → 5600。

「《アクセルシンクロ・スターダスト・ドラゴン》の効果。シンクロ召喚成功時、墓地のレベル2以下のチューナー一体を特殊召喚できます」

墓地から《ジェット・シンクロン》が戻る。

レベル1、ATK500。

蒼は、さっき預かったカードを見る。

《スターダスト・ドラゴン》。

「……いくよ、スターダスト・ドラゴン」

《アクセルシンクロ・スターダスト・ドラゴン》が光へ変わる。

「《アクセルシンクロスターダスト・ドラゴン》の効果を発動!!《アクセルシンクロ・スターダスト・ドラゴン》をリリースし、EXデッキから《スターダスト・ドラゴン》を特殊召喚します。さらに、墓地に存在するレベル2以下のチューナーを特殊召喚できる!!さっき一滴で墓地に送ったジェット・シンクロンを特殊召喚!!」

LP 5600 → 5000。

白銀の龍が、今度こそ現れた。

「集いし願いが、新たな未来を照らす光となる」

蒼は知らないはずの言葉を口にしていた。

「飛翔せよ。《スターダスト・ドラゴン》」

《スターダスト・ドラゴン》 ATK2500。

「ば、ばかな!!伝説の・・・・。だが、そのカードのちからではこの状況を打破できないぞ」

 

「アクセルシンクロスターダストの効果はまだ終わっていない。フィールドにいるカードでシンクロ召喚を行う。レベル3の《カードガンナー》に、レベル1チューナー《ジェット・シンクロン》をチューニング」

四つの星が重なる。

「シンクロ召喚。《アームズ・エイド》」

機械の腕を持つシンクロモンスターが現れる。

《アームズ・エイド》 ATK1800。

その効果を発動する。

《マスカレイド》の炎がまた蒼を削った。

LP 5000 → 4400。

「ずいぶん懐かしいカードをだすじゃないか。だが、たとえそのカードをスターダストに装備しても無駄だ」

蒼は《アームズ・エイド》をすぐには装備しなかった。

レイジが眉をひそめる。

「まだ何かあるのか」

「・・・素材になったジェット・シンクロンの効果!!スタージャンク・シンクロンを手札に加える」

「スタージャンク・シンクロン?・・・ジャンク・シンクロンは不動遊星がかつて愛用していたカードで珍しくはないカードだが、貴様はもう通常召喚は終了しているはずだ!」

蒼は手札の最後の一枚を見る。

《スタージャンク・シンクロン》。たしかにかつて不動遊星が使用したジャンク・シンクロンであればこれ以上の展開はできない。だが、ジャンク・シンクロンの系譜を受け継いだこのカードはわずかにオリジナルとは異なった効果を有していた。KCが作成したまだ世に出回っていないカードだ。それを蒼が物心ついたときにKCの社長である父からプレゼントされたものだった。蒼の大切なカードだった。

「《スタージャンク・シンクロン》の効果」

《マスカレイド》の炎が蒼のライフを削る。

「手札のこのカードを特殊召喚し、墓地のレベル2以下のモンスター一体を効果を無効にして特殊召喚します。このターン、EXデッキからはSモンスターしか特殊召喚できません」

「な、なんだと!また俺の知らない効果だと!?」

レベル3チューナー《スタージャンク・シンクロン》が現れ、墓地からレベル1の《アンノウン・シンクロン》が戻る。

そして蒼は、預かったばかりの白銀の龍を見る。

レベル8――《スターダスト・ドラゴン》。

レベル3チューナー――《スタージャンク・シンクロン》。

「レベル8の《スターダスト・ドラゴン》に、レベル3チューナー《スタージャンク・シンクロン》をチューニング」

レイジの目が見開かれる。

十一の星が一つに束ねられる。

「シンクロ召喚。《サイコ・エンド・パニッシャー》」

異形の巨躯がエクストラモンスターゾーンへ降り立った。

《サイコ・エンド・パニッシャー》 ATK3500。

ここで蒼は、フィールドに残していた《アームズ・エイド》の効果を発動する。

《マスカレイド》の炎が、またライフを奪う。

「《アームズ・エイド》を《サイコ・エンド・パニッシャー》に装備。攻撃力は1000アップ」

《サイコ・エンド・パニッシャー》 ATK3500 → ATK4500。

蒼のライフは、度重なる《マスカレイド》の代償で2600まで落ちていた。

「さらに《サイコ・エンド・パニッシャー》の効果。1000ライフを払い、自分フィールドのカード一枚と相手フィールドのカード一枚を除外します」

AOI LP 2600 → 1600。

盤面の一角が光に呑まれて消える。

レイジの残りライフは7000。

「く・・スターダストの効果をわざわざつかったのは、自分のライフをマスカレイドの効果で減らすためだったのか」

「バトルフェイズよ」

その瞬間、《サイコ・エンド・パニッシャー》の巨体を光が包んだ。

「バトルフェイズ開始時、このカードの攻撃力は、お互いのライフの差だけ上がります」

AOI LP 1600。

REIJI LP 7000。

差は5400。

《サイコ・エンド・パニッシャー》 ATK4500 → ATK9900。

レイジの表情が凍る。

「九千、九百……」

「《サイコ・エンド・パニッシャー》で、《赫灼竜マスカレイド》を攻撃」

ATK9900。

対する《赫灼竜マスカレイド》はATK2500。

差は7400。

「これで終わりです」

巨刃が炎の仮面を一閃した。

REIJI LP 7000 → 0。

WIN――AOI。

 

 

 

 

 

 

 

* * *

ホログラムが消えた後も、蒼はしばらく動かなかった。

場に残った《サイコ・エンド・パニッシャー》の残光が消え、蒼はEXデッキから戻った《スターダスト・ドラゴン》へ視線を落とした。

「……何だ、何が起こった。  そんな馬鹿な・・・」

レイジが言った。

問い詰める声ではなかった。

ただ、理解できないものを見た人間の声だった。

蒼は答えられない。

《アクセルシンクロ・スターダスト・ドラゴン》。

そんなカードを、自分がEXデッキに入れた記憶はない。

けれど、確かに自分は知っていた。

そして、そのカードは《スターダスト・ドラゴン》を呼んだ。

「私にも、分かりません」

レイジは笑った。

負け惜しみではなく、どこか楽しそうに。

「レンが負けたの、偶然じゃなかったんだな」

「偶然です」

「ははは!そういうことにしておいてやる。さすがはKCの秘蔵っ子だ」

「・・・わたしのことを知っていたの?」

「当たり前だろ。チームのコネで調べたらすぐにわかったよ」

蒼はデッキをしまった。

「人が集まる前に帰ります」

「もう遅いだろ」

遠くで、誰かが端末を構えていた。

蒼は心底嫌そうな顔をした。

* * *

月代邸の地下。

老人は、端末に映るデュエルログを見ていた。

《アクセルシンクロ・スターダスト・ドラゴン》。

《スターダスト・ドラゴン》。

そして、最後に表示された《サイコ・エンド・パニッシャー》の攻撃力9900。

老人は長く息を吐いた。

「……まさか、渡したそばから表舞台にでるとは。こうなったらもう止められないよ、蒼」

老人の机の上には、二つの空になったカードケースが残っている。

《スターダスト・ドラゴン》も、《ブラック・ローズ・ドラゴン》も、もうここにはない。

二体とも、蒼のもとへ渡った。

老人は画面の中の少女を見る。

「カードたちは、もう応えたか。蒼、がんばりなさい。あなたは今後、戦いに身を投じることになる」

* * *

同じ夜。

ネオ童実野シティの観測網の外縁で、一度だけ黒いノイズが走った。

誰も気づかないほど短い波形。

しかし月代邸の端末だけが、その揺らぎを記録していた。

シンクロ反応ではない。

融合反応でもない。

老人は画面を閉じた。

今はまだ、蒼にそれを知らせるべきではない。

彼女は今日、ようやく二頭の龍を受け取ったばかりなのだから。

 

続く

 

参考動画:

 

 

 

小説:遊☆戯☆王  LEGACY 第一話

遊☆戯☆王  LEGACY

第1話 青い眼の少女

――不動遊星たちがネオ童実野シティを駆けた時代から、およそ八十年。

シンクロ召喚は、いまもこの街の中心にある。

ルールは進化した。フィールドにはエクストラモンスターゾーンが設けられ、デュエルディスクもD・ホイールも何世代も更新された。

それでも、チューナーとそれ以外のモンスターの星を束ね、新たな星を呼ぶ――その思想だけは変わらない。

ライディング・デュエルも同じだ。

《スピード・ワールド》は今なおデュエル開始と同時に強制展開され、スピードカウンターは最大十二。通常の魔法・罠も使用できるようになった一方、《Sp-エンジェル・バトン》のようにスピードカウンターを条件とする専用スピードスペルも現役で使われている。

そんな街で、瀬名 蒼はできるだけ目立たずに暮らしていた。

* * *

十七歳。高校二年生。

朝、蒼の黒いD・ホイールは制限速度ぴったりで専用レーンを走っていた。

黄色信号。

前を走っていた二台は加速した。

蒼は減速する。

赤。

停止。

「……朝から元気だなあ」

誰もいない交差点で、ひとり信号を待つ。

速く走れないわけではない。

必要もないのに目立つのが嫌いなだけだった。

デュエルも、同じだった。

* * *

「蒼! 黒城レン知ってる?」

教室へ入るなり、水城ミナが端末を突きつけてきた。

「知らない」

「昨日のネオ童実野オープン優勝者!」

画面には、トロフィーを掲げて笑う青年。

黒城レン。二十一歳。

地区大会を何度も勝ち抜き、先日の大型大会でも優勝。街ではそれなりに名の知られたデュエリストだった。

配信では愛想がよく、ファンとのデュエルにも積極的。

『ファンを大切にする若きチャンピオン』。

それが表向きの顔だった。

「気になるなら蒼も今度私と大会見に行こうよ」

「嫌、人が多いし」

「なにそれ笑」

* * *

昼休み。校内モニターではライディング・デュエルの中継。

二台のD・ホイールが飛び出す。

『ライディング・デュエル! アクセラレーション!』

道路全体へ《スピード・ワールド》が展開され、両者のスピードカウンターが表示される。

数ターン後。

『Sp-エンジェル・バトン! スピードカウンターが2つ以上ある場合に発動できる! 二枚ドローし、その後、手札を一枚墓地へ送る!』

「やっぱりスピードスペルっていいよね」

ミナが言う。

「普通の魔法も使えるけど、ライディング用に何枚か入れたくなる」

「デッキ枠きつくなるけどね」

蒼が即答する。

ミナがにやりとした。

「デュエルの話だけ反応速い」

「……うるさい」

画面がCMへ切り替わった。

古い映像。

赤いD・ホイール。

白銀の龍――《スターダスト・ドラゴン》。

蒼は数秒だけ、その姿を見つめていた。

* * *

放課後。

駅前広場に人だかりができていた。

「あ、黒城レン」

ミナが足を止める。

レンは笑顔でファンに囲まれていた。

その端で、一人の少年だけが青ざめている。

取り巻きの男が、少年のカードを手にしていた。

「返してください……」

「でも負けたよね?」

レンは笑顔のまま答えた。

「ファンデュエルの記念。俺が勝ったら君のカードを一枚もらう。そういう条件だっただろ?」

「始まる直前に急に言われて……」

「嫌なら断ればよかったじゃん」

周囲の歓声に紛れる程度の小さな声。

表情だけは、カメラに向ける時と同じだった。

ミナの顔が引きつる。

「……最低」

蒼はしばらく見ていた。

「警備局に連絡しよう」

「蒼は?」

「帰る」

D・ホイールへ向かった。

* * *

百メートル先。

赤信号。

蒼は止まる。

バックミラーの中で、少年がカードへ手を伸ばした。

取り巻きに突き飛ばされる。

青信号。

蒼は動かなかった。

「…………もう」

ハンドルを切る。

* * *

「そのカード、返してください」

レンが振り返る。

「君、誰?」

「通りすがりです」

「じゃあ関係ないよね」

「そうなんですけど」

蒼は少し困った顔をする。

「見ちゃったので。見たのに何もしなかったら、たぶん今日寝るときに思い出すから」

レンの笑顔が薄くなる。

「正義の味方?」

「違います」

レンの視線が蒼のデッキケースへ落ちた。

「デュエリストなら、分かりやすく決めようか。俺に勝ったら返す」

ミナが蒼の腕を掴む。

「蒼。この人、本当に大会優勝者だからね」

「さっき聞いた」

「怖いならやめてもいいよ?」

レンが笑う。

蒼はため息をついた。

「……その言い方、ずるいですね」

ケースを開く。

「スタンドデュエルでいいですか」

「もちろん」

二人のデュエルディスクが展開される。

メインモンスターゾーン。魔法・罠ゾーン。そして、すでにこの時代では当たり前となったエクストラモンスターゾーン。

「デュエル!」

AOI LP 8000  REN LP 8000

先攻はレン。

その動きだけを見れば、さすが大会優勝者だった。

《教導の聖女エクレシア》を軸に、魔法・罠を整え、EXデッキの融合モンスターまで墓地効果のために使っていく。

《烙印竜アルビオン》。

さらに《鉄駆竜スプリンド》や《痕喰竜ブリガンド》へつながる烙印のリソース。

盤面だけでなく、墓地へ送ったEXモンスターの後続効果まで計算された、実戦仕様の教導・烙印デッキだった。

「どうした?怖じ気空いたか? ハハハ!」

「いえ」

蒼は相手の墓地を見た。

「ちゃんと見てます」

レンは複数の妨害を構えてターンを渡す。

蒼のターン。

手札は決して強くない。

派手な展開を無理に始めることもできない。

蒼はモンスターを一体セット。

さらに罠を伏せる。

「それだけか?」

「はい」

「昨日の大会なら一回戦で終わってるよ」

「大会、出ないので」

次のレンのターン。

レンは伏せモンスターへ攻撃を通した。

破壊されたカードが表になる。

《太古の白石》。

DEF 600。

「白石……?」

ミナが呟く。

レンは気にせず盤面を広げる。

融合モンスターをEXデッキから墓地へ送り、その効果でさらにアドバンテージを伸ばす。

蒼のライフは削られていく。

AOI LP 5500。

だが、エンドフェイズ。

蒼の墓地が光る。

「《太古の白石》の効果」

「エンドフェイズに、デッキから『ブルーアイズ』モンスターを特殊召喚できます」

白い光がフィールドへ走った。

「《白き霊龍》を特殊召喚」

青白い龍が姿を現す。

ATK 2500。

観客の一部がざわめいた。

「ブルーアイズ……?」

レンも一瞬だけ目を細める。

だが蒼は何も説明しない。

攻防は続く。

その後、《白き霊龍》も、レンの盤面を前に破壊された。

その瞬間。

「罠発動。《レベル・レジストウォール》」

伏せカードが開く。

ミナが端末を確認する。

「破壊されたモンスターの元々のレベルと同じになるように、デッキからモンスターを特殊召喚する罠……!」

「そう。効果は無効になるけど」

《白き霊龍》のレベルは8。

蒼のデッキから四体のモンスターが呼び出される。

レベル1――《アンクリボー》。

レベル2――《幻獣機オライオン》。

レベル1――《ジェット・シンクロン》。

レベル4――《黒き森のウィッチ》。

1+2+1+4。

合計8。

フィールドが一気に埋まった。

「そんなカードで四体も……!」

レンが眉をひそめる。

「でも効果は全部無効だ。雑魚を並べただけだろ」

「そうですね」

蒼は四体を見た。

「今は」

レンはなおも攻撃を続ける。

大会優勝者の盤面処理は正確だった。

蒼のライフはさらに追い込まれる。

AOI LP 2750。

そして、もう一撃。

AOI LP 1750。

対するレンは――8000。

無傷。

観客の空気が戻る。

「さすがに終わりだろ」

「レンが負けるわけない」

ミナだけが蒼のフィールドを見ていた。

《アンクリボー》。

《幻獣機オライオン》。

《ジェット・シンクロン》。

《黒き森のウィッチ》。

そして蒼の手札。

そこには一枚。

ゲーム機のような絵柄の速攻魔法。

蒼のターン。

「ドロー」

蒼はレンの盤面を確認する。

相手フィールドにはレベル8の大型モンスター。

《教導の聖女エクレシア》。

残った伏せ。

そして自分のライフ1750。

レンのライフ8000。

「速攻魔法、《エネミーコントローラー》を発動!」

「ここで?」

「二つ目の効果を使います」

蒼は自分のモンスター一体をリリースした。

「自分のモンスターを一体リリースして、相手モンスター一体のコントロールをエンドフェイズまで得る」

レンのレベル8モンスターが、蒼の側へ移る。

レンの顔から笑みが消えた。

「……攻撃に使うつもりか?」

「いえ」

蒼はすでに星を数えていた。

奪ったレベル8。

レベル2チューナー《幻獣機オライオン》。

レベル1の《アンクリボー》。

8+2+1。

十一。

「レベル8のモンスターとレベル1の《アンクリボー》に、レベル2チューナー《幻獣機オライオン》をチューニング」

レンが息を呑む。

「俺のモンスターまで素材に――!」

「コントロールを得ている間なら、シンクロ素材にできます」

緑の光輪が三体を包む。

一つ。

二つ。

そして八つの星。

十一の光が、エクストラモンスターゾーンへ集束する。

「シンクロ召喚」

巨大な白い影が降り立つ。

「《サイコ・エンド・パニッシャー》」

ATK 3500。

観客がざわつく。

レンは焦燥の顔をみせた。

「そ、そいつは・・・!!」

「バトルフェイズ」

蒼のデュエルディスクが反応する。

《サイコ・エンド・パニッシャー》の身体を、異様な光が包んだ。

「《サイコ・エンド・パニッシャー》は、バトルフェイズ開始時に――」

蒼は自分のライフを指す。

「お互いのライフの差だけ、攻撃力が上がります」

AOI 1750。

REN 8000。

差は6250。

3500+6250。

《サイコ・エンド・パニッシャー》

ATK 9750。

広場から声が消えた。

レンの表情が凍る。

「九千……七百五十……?」

「《教導の聖女エクレシア》へ攻撃」

ATK 9750。

対するエクレシアはATK 1500。

「待――」

「サイキック・エンド!!」

巨大な刃が振り下ろされる。

8250ダメージ。

REN LP 8000 → 0。

WIN――AOI

* * *

広場が静まり返った。

大会優勝者のレンが、無名の女子高生に一撃で倒された。

しかも、残りライフ1750から。

レン自身のレベル8モンスターを奪い、返却する前にシンクロ素材へ変え、ライフ差そのものを攻撃力へ変換した。

ミナが最初に口を開く。

「……蒼」

「なに」

「ううん・・・なんでもない。良かった!!」

 

少年のカードが返される。

蒼は受け取ったカードを少年へ渡した。

「今度から、そういう条件のデュエルは断った方がいいよ」

「う、うん……ありがとう」

蒼はD・ホイールへ向かう。

「待って、蒼!」

「人多いから嫌」

「どんだけ人見知りなのよ!?」

* * *

その夜。第七地区警備局。

黒城レンの『ファンデュエル』について過去ログの確認が始まっていた。

何人ものファンが同じようにカードを失っている。

そして、今日レンを倒した少女のデュエルログ。

局員がデッキ認証欄で手を止める。

一枚だけ、異様に古い認証形式。

詳細を開く。

白い龍。

青い眼。

《青眼の白龍》。

今日のデュエルでは一度も使われていない。

認証表示――ORIGINAL。

現存認証数――3。

「……先輩」

「どうした」

「これ……レプリカじゃありません」

先輩の顔色が変わった。

「一般回線に流すな。上へ直接送れ」

* * *

蒼の部屋。

机の上には今日のデッキ。

《太古の白石》。

《白き霊龍》。

《レベル・レジストウォール》。

《エネミーコントローラー》。

そして《サイコ・エンド・パニッシャー》。

蒼は一枚ずつ戻していく。

最後に、一度も姿を見せなかったカードを取り出した。

《青眼の白龍》。

「今日は出番なかったね」

コンコン。

「蒼」

祖母の声。

「今日、デュエルしたでしょう」

「してない」

「ニュースに映っていたわ」

「似てる人」

「D・ホイールまで?」

「…………」

「蒼」

「なに?」

「その龍を使う日が来たら、勝ちなさい」

蒼は青眼を見る。

「……意味分かんない」

* * *

同じころ。旧市街の地下。

一人の老人が八十年前の映像を止めた。

不動遊星。

十六夜アキ。

机の上には二枚のカード。

《スターダスト・ドラゴン》。

《ブラック・ローズ・ドラゴン》。

そのとき、モーメント観測端末に未知の波形。

シンクロ召喚ではない。

老人は立ち上がった。

「……来たか」

* * *

ネオ童実野シティから遠く離れた荒野。

夜空に黒い亀裂が開く。

数人の人影。

一人が黒いカードを取り出す。

同じレベルのモンスター二体。

しかし、チューナーはいない。

「二体のモンスターで、オーバーレイ」

二体が黒い光となって重なる。

星を足さない。

光輪も現れない。

黒いカードがEXデッキからせり上がる。

「エクシーズ召喚」

この世界では、まだ誰もその召喚法の名を知らなかった。

 

続く

 

参考動画:

 

 

 

Aiによる過去動画(X youtube ニコニコ動画)すべてを分析させてこのデッキの評価

SETO 青眼ハイランダー

なぜ「同じデッキ」が、時代を越えて戦い続けられるのか

― 長期対戦記録・構築思想・カード更新から読む、適応型ハイランダーの設計論 ―

 

 

分析対象:SETO / X @syatyou6 の公開対戦記録・公開デッキ情報・関連アーカイブ

 

 

要旨

SETOの「青眼ハイランダー」は、単なる“青眼を1枚ずつ入れたファンデッキ”ではない。長期にわたり環境・カードプール・ルール・対戦相手が変化しても、デッキの骨格を大きく崩さず対戦を成立させてきた点に最大の特徴がある。公開記録では、2020年頃には「以前までは青眼以外ハイランダー」と説明する動画が確認でき、その後も2024年の地縛神戦、2025年上半期・下半期の総集編、新HERO戦、ドラゴンテイル戦など、異なる時代・異なる相手に対して同じ“青眼ハイランダー”という名称と思想で戦い続けている。[1][2]

本稿の結論は、このデッキの耐久性を生んでいるのは「カードの強さ」そのものではなく、①役割ベースのスロット設計、②複数の勝ち筋を同時に保持する冗長性、③相手に応じてゲーム速度を変える可変テンポ、④墓地・相手盤面・EXデッキを含めた資源変換、⑤新規カードを“役割の後継”として吸収する更新方式、⑥長期使用によって蓄積された操縦者側の知識、の6点が組み合わさった「適応型システム」にある、というものである。

したがって、このデッキの本体は特定の40枚ではない。40枚はある時点での実装にすぎず、真の本体は「青眼というアイデンティティを残しながら、異なる役割を1枚ずつ持ち、引いた組合せと相手の状況からその場で勝ち筋を組み立てる」という構築・運用原理である。

1. 分析の前提と資料

今回の分析では、公開検索で確認できるX投稿の索引、ニコニコ系アーカイブ、遊戯王OCG公式カードデータベース、外部から青眼ハイランダーの構築比率に言及した2022年の記事、そして本人から提示されたデッキ画像を横断した。Xは全投稿が検索エンジンから完全に取得できるわけではないため、本稿は「公開状態で確認できた資料を広く横断した分析」であり、全対戦動画を機械的に全件視聴・全ターン集計した統計研究ではない。

一方で、資料間には強い一貫性がある。2020年の投稿説明には過去の「青眼以外ハイランダー」運用への言及があり、2024年・2025年の動画説明では「いつも通り私は青眼ハイランダーで戦います」と明記される。[1][2] また、2022年には第三者が、長年のデータとして「モンスター20、魔法12~13、罠7~8」「上級は原則4枚まで」といった配分思想を紹介している。[3] これは、偶然40枚がまとまったのではなく、長期間の試行から比率と役割を調整してきたことを示唆する。

2. 普通の“安定したデッキ”とは安定の定義が違う

一般的な競技デッキの安定性

現代遊戯王で「安定している」と言うと、多くの場合は同じ初動に高確率でアクセスし、似た展開ルートから強い最終盤面を再現できることを指す。3積み、サーチ、1枚初動、同名・同機能カードの重複によって初手の分散を小さくする設計である。

青眼ハイランダーの安定性

SETO型は逆である。同じカードを引く確率は意図的に下げている。しかし、「何を引いても何らかの仕事をする」「複数のカードが別々の経路で同じ目的に到達する」ように組むことで、展開の再現性ではなくゲーム参加能力の再現性を確保している。

同じ手札を再現するのではなく、違う手札から毎回“その試合に必要なデッキ”を作る。

この差が、ハイランダーなのに長期にわたり対戦が成立する理由を理解する第一歩である。

3. 40枚は「カード名」ではなく「役割」の集合

このデッキをカード名だけで見ると、青眼、シンクロン、汎用除去、蘇生、コントロール奪取、防御罠、手札交換、墓地肥やしなどが混在し、統一感が薄く見える。しかし機能で分類すると、重複した役割が網のように配置されている。

役割

代表的なカード群

デッキ内での意味

生存・時間獲得

和睦の使者、バリア系、神罠など

敗北するターンを次のドローへ変換し、逆転に必要な資源を増やす

盤面の再配分

心変わり、エネミーコントローラー系

相手の完成盤面を“障害物”ではなく自分の素材・打点へ変える

墓地へのアクセス

おろかな埋葬、手札交換、シンクロン群

墓地を第二の手札として使える状態にする

再利用・蘇生

死者蘇生系、墓地蘇生効果

1枚の価値を1回で終わらせず、長期戦で再投資する

レベル生成

各種チューナー、特殊召喚可能な小型

手札のばらつきをシンクロレベルへ翻訳する

リセット・突破

ブラック・ローズ等のEX、汎用除去

相手の優位を一度平らにしてゲームを再開する

フィニッシュ

青眼、大型S、コズミック・ブレイザー等

状況に応じて打点・制圧・継戦のどれを勝ち筋にするか選ぶ

重要なのは、同じ役割を同じカード3枚で持たせず、性質の違う1枚ずつで持たせている点である。これにより、相手が変わるたびに「同じ防御札を3枚引く」のではなく、攻撃反応・無効・コントロール奪取・全体処理など異なる角度の回答が現れる。結果として、対戦動画が毎回違う展開になる。

4. 「相手によって戦い方が変わる」は偶然ではなく設計

このデッキには固定された一つのゲーム速度がない。相手と初手に応じて、少なくとも次の4つのモードを行き来できる。

·       展開モード:シンクロン群からジャンク・スピーダーやライブラリアンを経由し、連続シンクロやデルタアクセルまで伸ばす。

·       受けモード:和睦・バリア系・神罠などで相手のターンを受け、相手に資源を使わせた後で反撃する。

·       捲りモード:心変わり等の盤面干渉、全体処理、相手モンスターの利用によって完成盤面を解体する。

·       ビート/資源戦モード:青眼や大型モンスターを繰り返し使い、1ターンで決めずに打点と墓地資源で押し切る。

2025年のドラゴンテイル戦ではコズミック・ブレイザー・ドラゴンまで到達する動画が公開されている一方、別の対戦では相手への対策や後攻での突破が主題になる。[2] X上でも、当時の原石青眼には先後とも戦える一方、オルフェゴール後攻には厳しく、サイバー・ドラゴンやサイド対策を検討する旨の投稿が確認できる。[4] これは「どの相手にも同じ展開を押しつける」のではなく、相性差を認識し、必要な役割を差し替える運用である。

5. EXデッキは“最終盤面”ではなく変換装置

SETO型を理解するうえで、EXデッキは特に重要である。一般的な展開デッキでは、EXは決まったコンボの通過点と最終盤面に寄りやすい。しかし青眼ハイランダーでは、レベル帯・機能の異なるシンクロを広く持つことで、ばらついたメインデッキを必要な回答へ変換する。

低レベル帯はドローや展開の橋渡し、中レベル帯は盤面処理、高レベル帯は妨害・除外・打点・耐性、最上位はゲームを決める制圧力を担う。ここでは「A+Bなら必ずX」ではなく、「今あるA+Bから、相手に最も刺さるX/Y/Zのどれを選ぶか」が重要になる。

このためEX15枚は、コンボパーツの倉庫というより“状況別の回答集”に近い。メイン40枚のランダム性を、EX側の選択肢の多さで吸収している。

6. なぜ青眼が中心であり続けられるのか

青眼の白龍は、現代のカード単体の効率だけで見れば常に最適な初動ではない。それでもこのデッキで中心に置き続けられるのは、青眼が「テーマのエンジン」だけではなく、複数の機能を持つ基準点だからである。

·       3000打点という、時代が変わっても意味を失いにくい単純な戦闘圧力。

·       レベル8という、シンクロや各種大型展開の素材設計に使いやすい数値。

·       墓地・蘇生・ドラゴン族・通常モンスター関連など、時代ごとに増える周辺カードと接続できる拡張性。

·       何より、デッキのアイデンティティを固定する“変えない核”。

つまり青眼は、毎試合必ず最強の動きを作るためのカードではなく、デッキが何年更新されても「同じデッキである」と言える中心軸として働いている。可変部分が大きいデッキほど、逆に不変の核が必要になる。

7. ミラーフォース→マインドフォース、ジャンク→スタージャンクが示すもの

本人が指摘した近年の変更――《聖なるバリア-ミラーフォース-》系の枠が《聖なる心のバリア-マインドフォース-》へ移ること、旧来のジャンク/シンクロン系に《スタージャンク・シンクロン》のような新規が加わること――は、このデッキの更新方法を象徴している。

カード名は変わっても、役割は大きく変わらない。防御枠は「相手に攻撃まで進ませたうえで生存・反転する」、シンクロン枠は「小型と墓地を接続し、レベルを作ってEXへ変換する」。新規カードは既存システムを破壊するのではなく、既存スロットの性能・柔軟性を上げる後継部品として入る。

カードを更新しているのに、デッキの役割構造は更新しすぎない。

これが、数年後に見ても「別のデッキになった」と感じにくい理由である。X上でも「しょっちゅう入れ替えて運用しています」という本人投稿が検索結果に残っており、固定リストではなく継続的な微調整であることが確認できる。[5]

8. 20・13・7前後の配分が作る“デュエルの呼吸”

第三者が2022年に紹介した長期データでは、モンスター20、魔法12~13、罠7~8という配分が「バランスの良い基本」とされている。[3] 会話時に提示されたレシピもモンスター20・魔法13・罠7で一致している。

この比率は単なる見た目の美しさではない。モンスターを約半分にすることで毎ターン盤面を作る素材を確保しつつ、魔法を約3割置いて展開・墓地・突破の可変性を与え、罠を約2割弱残して相手ターンを“見る”余地を作る。罠を完全に切って先攻展開へ寄せないことが、相手のデッキによって戦い方を変える余白につながっている。

また、上級モンスターを過剰に積まず、自力で特殊召喚できるカードは例外として扱うという思想も、ハイランダー特有の事故を抑える合理的な経験則と考えられる。[3]

9. “弱いカード”が弱くない理由:単体評価とシステム評価

このデッキには、環境デッキの採用率だけを基準にすると不思議に見えるカードが残る。しかしハイランダーでは、カードの価値を「単体の期待値」だけで測ると誤る。重要なのは、そのカードが何種類の別ルートへ接続できるかである。

たとえば1ターン生存させるだけのカードは、単体ではアドバンテージを増やしていないように見える。しかし次のドロー、墓地の増加、相手が使ったリソース、相手盤面に残ったモンスター、そしてEXから出せる回答まで含めれば、“1ターン”そのものが大きな資源になる。

同様に、特殊召喚できるだけの小型モンスターも、シンクロレベルを作れるなら価値が跳ね上がる。コントロール奪取も除去として終わらず、相手モンスターを素材に変換できれば二重の仕事をする。SETO型では、この「1枚が二つ以上の役割を持つ」カードが特に重要である。

10. 長期使用者だから成立する“操縦者側のデッキ圧縮”

このデッキの強さは40枚だけでは完結しない。長年同じ骨格を使うことで、操縦者の中に膨大な分岐表が蓄積される。どのカードを今使うか、残すか、墓地へ送るか、どのレベルを作るか、相手のどの妨害を先に踏むか――これらはデッキリストには書かれていない。

一般的な定型展開デッキでは、デッキ側がプレイ順をある程度規定してくれる。一方、ハイランダーでは初手の組合せが毎回違うため、操縦者がカード間の“翻訳”を担う。長期使用によって、この翻訳コストが下がる。

言い換えると、初心者が同じ40枚をコピーした場合と、何年も使った本人が使う場合では、同じデッキでも実質的な選択肢の数が違う。経験が、見えないサーチカードのように機能している。これはこのデッキの最もコピーしにくい部分である。

11. なぜ環境が高速化しても完全には取り残されないのか

遊戯王は長期的にカードパワーと展開速度が上がってきた。それでもこのデッキが“同じ形のまま”対戦を続けられる理由は、勝利条件を一つの速度帯に固定していないからである。

·       高速環境では、手札誘発・後攻札・一撃の盤面処理・高速シンクロの比重を上げられる。

·       中速環境では、蘇生・墓地利用・青眼の打点・継戦能力が価値を持つ。

·       罠やコントロールが強い環境では、羽根帚・除去・サイドなど対策スロットを更新できる。

·       新規シンクロや新しい自己特殊召喚モンスターが出れば、EXへの“変換効率”だけを上げられる。

2025年の本人投稿でも、環境トップとの相性を個別に評価し、後攻で厳しい対面についてサイドや特定カードを検討している。[4] つまり「いつでも同じ40枚で勝てる」という意味での普遍性ではない。環境の問題を認識しながら、骨格を保ったまま必要な役割を差し替えられることが普遍性の正体である。

12. このデッキの弱点も、強さと同じ場所から生まれる

適応性には代償がある。ハイランダーである以上、特定の回答を必要な瞬間に引けないことはある。特定の1枚初動を最大枚数積むデッキほどの再現性もない。さらに、相手の盤面を見てから戦う設計は、相手が一度のターンでゲームを閉じる環境ほど厳しくなる。

また、EX封鎖、墓地封鎖、特殊召喚封鎖、モンスター効果封鎖など、デッキ内の複数ルートを同時に止めるメタには脆さが出る。X上でも本人が「ティマイオス、スピーダー、儀式が裏側除外される」「EXが使えない」「モンスター効果そのものが使えない」状況への危惧を述べる投稿が確認できる。[6]

しかしこの弱点認識そのものが、次の更新につながる。固定コンボデッキなら中核が止められた時点で大改造が必要になるが、役割型ハイランダーなら、止められた役割の比率や代替経路を調整できる。弱点が“構造の破綻”ではなく“スロットの課題”として現れることが重要である。

13. このデッキをシステムとして表す

層

機能

不変核

青眼という象徴、ハイランダー、40枚前後の役割配分、シンクロを中心とした資源変換

準不変核

蘇生、墓地利用、チューナー、手札交換、生存札、汎用突破札

可変部品

その時代の新規シンクロン、バリア系、手札誘発、後攻札、環境メタ

回答層

EXデッキ。手札・墓地・相手盤面を、その試合で必要な機能へ変換

操縦層

相手テーマの理解、妨害の踏み方、温存判断、長期使用による分岐知識

この5層構造で見ると、「カードが何枚も入れ替わったのに同じデッキに見える」理由が説明できる。変わっているのは主に可変部品であり、不変核・準不変核・操縦層が維持されているからである。

14. 結論:青眼ハイランダーは“デッキ”ではなく適応アルゴリズムである

SETOの青眼ハイランダーが長い年月を通じて通用してきた最大の理由は、最強のカードを固定しているからではない。むしろ逆で、カードを固定しすぎず、役割と思想を固定しているからである。

同じ展開を何度も再現するデッキは、その展開が環境に合わなくなったとき大きく組み替える必要がある。青眼ハイランダーは、最初から一つの展開に依存しない。相手が速ければ受ける、盤面が硬ければ奪う・流す、手札が伸びればシンクロを重ねる、長期戦なら蘇生と青眼で資源戦をする。毎回の初手の不確実性を、選択肢の多さと経験で吸収する。

このデッキの“安定性”とは、同じことができることではない。違う状況でも、何かできることである。

だからミラーフォースがマインドフォースに変わっても、ジャンク・シンクロンの周囲にスタージャンクが加わっても、本質は変わらない。カードは時代に合わせて交代するが、役割は引き継がれる。

そして青眼の白龍だけは、その変化の中心に残り続ける。青眼は単なる勝ち札ではなく、この適応システムに“同じデッキであり続ける理由”を与える核である。

青眼ハイランダーは、40枚の完成品ではない。対戦相手と時代の変化を入力として、手札・墓地・相手盤面・EXデッキから毎回別の解を出力する、長期運用型のデッキ設計である。だからこそ、何年経っても対戦内容が同じにならず、それでも見れば「いつもの青眼ハイランダー」だと分かる。そこに、このデッキ最大の個性がある。

15. 結論:戦い方の特性

同じ40枚なのに、試合ごとに印象が変わる

SETOの「青眼ハイランダー」の対戦を続けて見ると、不思議な感覚がある。同じデッキを使っているはずなのに、試合ごとにデッキの印象がまるで違う。

あるデュエルでは、序盤からモンスターを展開し、大型シンクロへつないで短時間で勝負を決める。ところが別のデュエルでは、相手に先に盤面を作らせ、罠や速攻魔法で攻撃をかわし、小型モンスターや墓地の資源を残しながら何ターンも耐える。そして条件が揃った瞬間、突然盤面を反転させる。

今回確認した実戦動画でも、約1分で決着する対戦がある一方、3分を超えて何度も盤面の主導権が入れ替わる対戦があった。一見すると、前者は展開デッキ、後者はコントロールデッキのようにすら見える。しかし、使っているのは同じ青眼ハイランダーである。

「試合ごとにデッキの顔が変わる」。この現象こそ、青眼ハイランダーを理解する重要な手掛かりである。

「速いデッキ」「遅いデッキ」と分類できない

一般的なデッキには、ある程度固有の速度がある。初動から大量展開して強力な盤面を作るデッキなら、基本的には毎試合それを目指す。罠を中心に相手のカードと交換していくデッキなら、長期戦を得意とする。対面による変化はあっても、デッキ自身が望むゲームの形は比較的一定している。

青眼ハイランダーはそこが違う。ほぼすべてのカードが1枚ずつである以上、「毎試合同じ初動を再現する」という発想そのものが薄い。代わりに問われるのは、今配られた手札なら、どのようなゲームをするのが最も強いのか、ということになる。

展開へつながるカードが噛み合えば速い。防御札、除去、蘇生札などが集まっているなら、無理に速度を上げずに相手を受ける。そして数ターン後にチューナーや蘇生札が加われば、それまでコントロールデッキのように戦っていたデッキが、突然シンクロデッキへ変わる。

デッキの速度が構築時点で固定されていない。その試合で配られたカードと相手の動きによって、速度そのものを選択している。

長期戦になるのではなく、長期戦を選べる

ハイランダーだから展開が安定せず、仕方なく耐えている――それだけでは、実戦で起きていることを説明しきれない。この構築には、戦闘を凌ぐカード、攻撃反応型の罠、除去札、蘇生札、コントロール奪取、墓地利用など、「ゲームをもう1ターン続ける」ための機能が意図的に残されている。

一見すると延命に見える。しかし青眼ハイランダーにとって、1ターン生き残ることは単なる時間稼ぎではない。次のドローを得る。墓地が増える。相手にカードを使わせる。相手フィールドに新たなモンスターが現れる。そして、こちらの小型モンスターが次の素材として残る場合もある。

つまり時間が経過するほど、利用可能なカード同士の組み合わせが増えていく。すぐに勝てないから長期戦になるのではない。必要なら、長期戦というゲームモードを選択できるのである。

勝てる瞬間には、突然速くなる

長期戦を選べるからといって、常にゆっくり戦うわけでもない。短時間で終わった実戦が示すように、条件が揃った試合では長期戦用のカードをすべて見せる必要はない。使えるモンスターを素材へ変換し、EXデッキから必要なモンスターを呼び出し、打点を形成して、そのままゲームを終わらせればよい。

興味深いのは、「速攻用のデッキ」と「長期戦用のデッキ」が別々に存在しているわけではないことだ。同じ40枚が、その両方を担当している。

そのため、一戦だけを切り取るとデッキを誤解しやすい。速攻で終わった動画だけを見れば、シンクロ展開を通して一気に倒すデッキに見える。長期戦だけを見れば、汎用罠や単体カードで粘り、最後に青眼や大型シンクロで決めるデッキに見える。どちらも間違いではない。しかし、どちらも全体像ではない。

青眼ハイランダーの「可変速度」

この性質を表す言葉として、「可変速度」がしっくりくる。車の変速機のように、デュエルの状況に応じて速度域を切り替える。

速度域

主な役割

低速

攻撃を受け流し、1ターンを確保する

中速

除去・奪取・蘇生などでカードを交換し、盤面と墓地を整える

高速

チューナーや既存のモンスターをシンクロへ変換し、盤面を一気に強化する

最高速

リーサルが見えた瞬間、蓄積した資源を打点へ変換してゲームを終わらせる

しかも、この変速のためにデッキを入れ替える必要はない。デュエルの途中で変速する。序盤に防御のために使った1枚が次のターンを生み、そこで残ったモンスターがシンクロ素材になり、墓地へ送られたカードがさらに次の展開の起点になる。数ターンかけて蓄積した資源が、ある瞬間まとめて攻撃力へ変換される。

防御 → 展開 → 攻撃は別々の戦術ではない。一続きの変換過程である。

相手が変われば、こちらも別のデッキになる

速度を決めるのは自分の初手だけではない。対戦相手もまた、青眼ハイランダーの戦い方を変化させる。

相手が大量展開するなら、その盤面をどう処理するかというゲームになる。大型モンスターが出れば、コントロール奪取や除去の価値が変わる。こちらの展開に強い妨害が向けられるなら、一度ですべてを突破するより、妨害を消費させながらターンをまたぐ価値が高くなる。逆に、防御が薄い瞬間が訪れれば、長期戦を続ける理由はない。

つまりこのデッキは、「自分はこう動く。止められるか」と問いかけるだけのデッキではない。「あなたがそう動くなら、こちらはこういうデッキになる」という性格を持つ。だから対戦相手が変わるだけで、同じ40枚からまったく違う映像が生まれる。

ハイランダーの“不安定さ”を逆から利用する

同名カードを複数採用する大きな理由は再現性にある。欲しいカードを高確率で引き、強い動きを何度も再現する。ハイランダーは、その意味では当然不利である。同じカードを引けない。だから同じゲームにならない。

しかし、青眼ハイランダーは「同じゲームにならないこと」を前提に構築されているように見える。カード名は違っても、役割には重複がある。あるカードと別のカードが、ともに「1ターンを作る」。別の2枚が、ともに「墓地から盤面へ資源を戻す」。さらに別のカード群が、「今存在するモンスターを次のシンクロへ変換する」。

名前は40種類でも、機能は完全に孤立していない。その役割の組み合わせが毎試合変わるからこそ、デッキの表情まで変化する。

「何デッキなのか分からない」は、このデッキの個性である

青眼デッキなのに、青眼が主役に見えない試合がある。シンクロデッキに見える試合もある。罠を中心に受け続ける時間もある。グッドスタッフのように単体カードの力をつなぐこともある。そして突然、《青眼の白龍》の3000打点がゲームを決めることもある。

一戦だけを切り取って「このデッキは○○デッキである」と分類しようとすると、どこかが合わなくなる。それは欠点ではない。青眼ハイランダーの正体が、特定の戦術ではなく、戦術を変更できることそのものだからである。

同じ40枚から、同じデュエルは生まれない

一瞬で終わるデュエル。泥臭く耐えるデュエル。盤面をひっくり返すデュエル。大型シンクロが主役になるデュエル。青眼が最後を決めるデュエル。

同じデッキなのに、まるで別のデッキを見ているように感じる。しかし、それは構築が散らかっているから起こる現象ではない。むしろ「毎試合違うカードを引く」というハイランダー最大の不確定要素を、「毎試合違う戦い方ができる」という性質へ変換している結果なのではないだろうか。

速く戦える手札なら速く戦う。遅く戦うべき手札なら遅く戦う。相手に展開させた方が得なら待つ。今なら倒せると判断すれば、一気に攻める。

青眼ハイランダーの理想的なデュエルは、
「いつもの動きができた試合」ではない。
その試合にしか存在しない勝ち筋を見つけられた試合である。

同じ40枚から、同じデュエルは生まれない。速攻も、長期戦も、逆転も、その都度引いたカードと相手によって選択される。

青眼ハイランダーは一つの戦術を持つデッキではない。
戦術そのものを、デュエル中に変化させるデッキなのである。

多層的な戦略を行えるデッキ構築について

【挨拶】

こんにちは。最近27年遊戯王をやっていてようやく2つ目の兄弟デッキを構築しようとしているsetoと申します。

【概略】

今回はデッキ構築のお話。お題は”一人回しで満足するデッキ”ではなく”相手と対話し対戦するデッキの構築論”です。

話の流れとしては以下の通りとなります

①僕が長年使い続けた青眼デッキと、ずっと念頭にあって実現まで至らなかった兄弟デッキであるブラック・マジシャンデッキを組み上げたことの感想

②青眼デッキのようなデッキでなぜ継戦能力が高いのか、ブラマジデッキを組み上げたことで気づいたカラクリの解説

③構築で気をつけるべきポイントと構築の手順でまちがってはいけないこと

 

この3点を記事にします。では参ります。

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【①青眼デッキと、それを元にブラマジデッキ構築したことの感想】

まずは長年使い続けてきた現在の青眼デッキのレシピです。

デッキ名:【今を生きる可能性】


見ての通りハイランダーですが、昔は違ってました。できる限り戦略の幅を広げた結果こうなったのは以前から申している通りです。このデッキは幼い頃から一つのデッキをつかってはいましたが医大生になった時、対戦相手との戦績とカードの貢献度による統計データを元に本格的に一枚一枚比較検定を行った結果編み出されたバランスで2016年に中核が作られ、以降ずっと同じバランスを保ったまま改築されているデッキです。正直統計データを元にデッキの抜き差しをしており、結果から構築されたデッキであるため自分でもなぜ戦えているのか、どうなっているのか未だに言語化することもできず、よくわからないデッキです。

 

しかし、このバランス(例えば特殊召喚の数、バウンスや除外の数などの内訳)に限りなく近くすれば、ブラマジデッキでもある程度近いものが作れるはずと長年信じて色々試してみたものの、やはり完成度としては微妙でした。

 

ただ、今回、新段パックをみて、ブラック・マジシャンの新たな可能性を見出し、青眼デッキの要素もある程度引き継いで使い回せるデッキを構築しました。

それがこちらです。

デッキ名:【引き継がれた可能性】

ところどころ青眼デッキに似た構築にしていますが、このデッキの最大の特徴は墓地も除外ゾーンのカードもすぐにデッキに回収でき、使い回すことができる点。これは青眼デッキにない大きな強みをもたらしています。青眼の要素と現代デッキが合わさったハイブリッド担った感じです。ただし、やはりまだまだ課題はあると感じます。その課題とは相手への対処の大半が青眼デッキよりも遥かにモンスターに依存となってしまっているところ。柔軟性という意味ではまだ青眼に劣りますが、それ以上にデッキのパワーがあるので何が相手でもなんとか切り抜けられる印象です。懸念事項としてドロールやサンダードラゴンなど、サーチを完全に封じられるとやや選択肢が狭まる、特殊召喚を封じられると厳しくなることです。これは青眼デッキとは真反対で現代ナイズされた弊害でもあります。

しかし決定的に青眼デッキと異なる利点としては自分から動けるようになったこと。これは青眼デッキにない大きな強みです。

このデッキはまだ不得意なところも課題もわかっており、これから、未来過去様々なデッキと対戦し、データを少しずつ蓄積して、青眼とは違った方向へ分岐していくと思います。

今後が楽しみです。

 

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【②なぜ青眼デッキは継戦能力が高かったのか、気付いたカラクリ】

ブラマジのデッキを作り上げたことで継戦能力について考えさせられました。

青眼デッキはなぜこれほど古いカードが大半の中、どの時代でもある程度対処でき、それが実行できるのか。統計データから相手ターンをどう対処するかの重きをおいて結果を求めた結果こうなっていたのでこのカラクリがわからない状態でした。例えば、相手ターンを守るといっても和睦とかを対策札として入れたとして、そのカードがうまくその場面に居合わせるわけではないじゃないですか。しかもそれが巻き返す次への布石でないとただの遅延で結局負けます。でもなぜ他のカードも組み合わせてでもそれが可能になり、勝利を手繰り寄せるようにできているのか、結果論から導き出したバランスでしかなく、そのカラクリはブラックボックスです。構築した僕にも、もはや何がどう作用しているのか、考察するくらいしか言語化できない状態です。ただ結果がそうなったから、より良い結果を追い求めて実現できる確率が高いものに収束される構築を統計的に処理したらそうなったのです。

念頭にはどんな仮想的、新しいデッキがきても対処できるようにずっと考えていたのは確かなのでそこが反映されているのでしょう。ほとんどデッキを変えることなく、現代でもなぜか戦えている制作者も理解が追いつかないものになっています。

 

それを新たなデッキに求めるのは非常に困難です。ブラマジデッキもできれば同じようにどんな相手でも、これから生まれる未来のデッキにも対処できる術を与えたいところですが、ある程度青眼デッキに寄せて構築てもさすがに27年経験を積み上げてきたデッキといきなり肩を並べるのは難しすぎました。。。

 

しかし、今回ブラマジだからこそできる新たな、墓地、除外からデッキに戻して使い回せるという武器を手に入れたことでこのデッキは継戦能力を擬似的に青眼デッキに近づけることができたと思います。デッキに戻せるということは一度失敗したものをやり直せる可能性があるということ。青眼デッキではその失敗したエラーを限りなく確率的に0にするように比較検討されて絶妙なバランスで現在に至ってます。そこに近づけるのはもはや27年の重みがあり、難しいですが、それをデッキ内の構造でやり直すことができるのであれば、青眼のやってきたものに一気に近づくことができます。そのキーカードがこちらです。

このカードは3枚ものカードを墓地、除外からデッキに戻しつつ自身を特殊召喚することができます。サーチカードが多い昨今ではデッキ内にカードがありさえすれば引っ張り出すことは容易なので青眼デッキの継戦能力を擬似的に再現するにはうってつけののものです。更に、このカードが除外されたとしても第二の矢として電脳堺狐-仙々でデーモンを墓地に戻すこともできます。

ここまでは理論上可能なのではというもと、デッキをつくってみたのです。


そしてブラマジデッキを構築し、青眼デッキと同様、一人回しはできないだろうなと思ってましたが、いざ始めるとどうでしょう。以下の一人回しリプレイの動画をURLでお示しします。

https://x.com/syatyou6/status/2030237832586166668

そう、条件が整うと偶然こういう展開能力があることに気づきました。実践でももちろん普通にできることです。デッキにカードを回収できる以上、これがいつどのタイミングでも条件が整えばできてしまいます。

そして実践においても3ターン目のドローフェイズの段階で以下のようになりました。

これが実践でもできてしまったことで気づいたことが一つあります。

それはこの盤面を初めから作るために構築しては駄目だということです。

今までこのデッキを構築する過程をお話してきましたが、僕はこの盤面を作るために構築をしたと一切していなかったと思います。これはあくまでこのデッキができることの選択肢の一つにこの展開力があったというだけの話で、これを目指して構築はしていません。

でも例えばこの盤面を作るためにデッキを構築していたのならどうなると思いますか??

目的と手段が逆転した場合、それはその盤面を作るため、通すためにそれを補助するものや初動カードといわれるものを第一に考えて構築してしまいます。それが悪いわけではありませんが、そうしてしまうと、万が一キーカードを止められた場合や、相性の悪いデッキと対戦してしまった場合は継戦能力がなくなり、その時点でもう戦う気力がなくなります。

わかり易い例でいうとシンクロン系統で相手にジャンクスピーダーを裏側で除外されたらどうなりますでしょうか。今後そういうエクストラ破壊テーマが全面にでてきたらどうしようもなくなりますよね。戦力の6割は削がれてしまうと言っても過言ではないはずです。そうなるともうやりたいことはないから即サレンダーという考えになります。それでは相手とのキャッチボールになりえません。

 

青眼デッキはひたすら相手の対処をしてその反動を利用して次に繋げることを第一に考えていました。そこが一つ継戦能力と、相手との対話という点で大事なことが詰まっているのだと思います。

 

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【③構築で目的と手段を間違えないこと】

 

デッキ構築の際、あくまで継戦能力と対処できる手順を整えることを第一に考えて構築しなければただの一人回し坊っちゃんで終わってしまうと僕は結論づけました。

一人回しには大きな欠点があります。それはだいたい初ターンで成功しなければその後成功することはほとんどないです。なぜならデッキに眠っていてほしいギミックなど、デッキ構築の段階でそれぞれの役目がもうきまってしまっているため、ターンを重ねるごとにその役割は相手に妨害され、実現ができなくなるからです。だから後攻ではあまり勝てない上に、勝っても相手を蓋するだけ、負けても相手と対話できないデッキという自体にも陥ります。

 

このデッキはこういうこともできるという一人回しの紹介をするなら良いと思います。でもそれを参考に組み上げる人はそのギミックを取り込んだとして、それを通すために誘発やら他の補助カードを組み込んでいくようなことをするとそのデッキは失敗したら終わるデッキになります。

 

そもそも青眼デッキは相手を対処し、相手の強力なカードを逆利用して自分を引き上げることにすべてを捧げています。その中で自分の動きというのは最小限なのです。なので青眼デッキは本当に最後デッキが切れるまで、これが潰されたら終わるという自体は起こることはほとんどないのです。ブラマジデッキもそれを引き継いでいます。ただ、ブラマジデッキはその継戦能力を引き継いだうえで、結果として一人でも最終盤面まで動ける能力があったということです。

 

カジュアル視点の要素が大きいかもしれませんが、僕は環境デッキを相手にすることも見据えてデッキを組んでいます。その中でいざ対人戦をするのであれば、一人回しから始めるデッキ構築はやめておいたほうがいいと僕は思います。

なぜならたとえ妨害がないとしても、対人戦では誘発が飛んでくるかもしれないと考えながらプレイするわけです。一人回しでできているとおりに動けるはずもない上に後攻のときはどうするかのプランが希薄になります。僕はこのブラマジデッキを構築して一人回しをして、できてしまった盤面をみて、深く考えるきっかけになりました。

 

ここでデッキ構築の手順として一つこれがいいのかな、と思うことを紹介します。

環境でもなんでもいいのです。いろんな仮想の敵をつくることです。

例えば、youtubeでこんな盤面ができます!!と投稿しているものありますよね。

それを見て僕は参考にすることはなく、その最終盤面、どうやって乗り越えようかということのみをいつも考えています。つまりそれが継戦能力の高さにつながると思います。

そう、最終盤面を乗り越える力をデッキの中に秘めておくことが継戦能力の秘訣だと思います。

途中手札誘発とかあったらとか、そういうのではなく、純粋にその盤面に一石投じることができるかできないかを考えないといけないと思います。

なぜならその最終盤面をひっくり返せる手段があるのなら、戦いを諦めずに続けることができるということです。

もちろん、手札誘発でその盤面にさせないのもありですが、貫通されることを前提に考えるべきなのです。でなければ手札誘発が空振りにおわったからもう自分ができることはないとなったらそれは継戦能力が低いということになります。自力でそこを突破する手段を作ることを考える必要があります。

そしてこれが相手と対戦という会話のキャッチボールを長く続ける手段にもなります。

そういう意味でこの盤面をつくるんだという目的が先行していては対人ゲームにならないと僕は思います。デッキ構築する際、ロック系統、上振れ展開するするデッキ、継戦能力の高いデッキなど、いろんなパターンの仮想的と後攻で戦うことを意識してデッキ構築してみるといいのではないでしょうか。

 

【最後に】

この盤面を作りたいから、という構築ではなく、盤面を返すためにする構築、意識してみてはいかがでしょうか。僕は日頃から対戦している中で、ギリギリのところで相手の攻撃をかわすことが非常に多いものをつかっています。相手の築いた状況をなんとか好転させるために様々なことを駆使しているのです。大事なのは相手のことをどれだけ考えて構築しているか、だと思います。

自分よがりのデッキでは必ず時代が進むと強化が来ない限り置いてけぼりなデッキとなります。どんな未来のデッキでも対処できる!!と胸を張って言える構築がつまりは相手と会話するデッキとなると思います。

僕は相手を乗り越える確率をある程度安定したぶれない数字として扱うために統計という武器を使用したに過ぎません。(単なる確率ではなく、こういうときは20%だけどこうなると90%でこうなる、みたいなブレる結果ではなく、ある程度収束したデータにするための統計という意味)

僕みたいに一枚ずつ統計的に比較検討するのもいいですが、どんな手段でもいいのです。相手の具体的な盤面をできるだけ高い確率で超えることを意識していくとどうでしょうか。

デッキ構築の一助になれば幸いです。

 

最後に、相手の攻撃を交わして継戦した例を2つ、以下に貼っておきます。ご参考までに

https://x.com/syatyou6/status/2031097928635527387

https://x.com/syatyou6/status/2020916061768646864

 

 

 

 

 

遊戯王における価値観

今回のお題は私個人が遊戯王のプレイヤーとして、どのようにこのゲームに価値観を見出しているか

私はこのゲームをやっている理由は明白です。

”常に頭を使っていたいから” 

私にとってこのゲームは目に見えない確率論と、その確率がどこに収束していくのか、そこを見極めるものです。そこが難しいゲームであり、面白いところ。

 

つまるところ数独とか脳トレとか、そういう感覚です。

デッキ作りにおいても一切人と被るようなことはしたくないというのも勿論ありますが、どこかの誰かが考えそうなコンボや用意されたテーマでは私自身が本当に1から自分で苦労して作り上げたデッキじゃないため満足できないという、少々人よりも捻くれています。

 

常に頭を使うとは?その定義は人によって違うでしょう。デッキを作る段階で1ターン目のソリティア展開を考えるのもそれは頭を使っているといってもいいでしょう。

でもそれは私の中では同じ思考をただくりかえしているだけのもので何度もやっていると単調になるのでつまらないと感じます。少々経路が変わるだけで相手に関わらず常にゲーム中、山の頂点である一点を目指していることにかわりないのです。

 

そうではなく、対戦の中で、限られた時間で限られた手数で、どうやって数ある選択肢の中から勝利をもぎとるかを考える過程がすごく好きです。そのためにデッキにはありとあらゆる戦略が手足のようにとれるように確率を制御して組み上げられたものを使う。これはおそらく私だけの唯一無二のデッキです。

 

いわゆるシンクロン、デモンスミス、などのデッキ名がつくようなデッキになるとその選択肢の幅は減りますし、なにより人と同じになったり、どこかをパクったような感じになるのが私は嫌で、それなら自分で考えていくことを選びます。

頭を使ったデッキ構築でデュエル中も常にデュエルの流れを意識して頭をつかって対処を考えて相手とキャッチボールをする。これが遊戯王の私の楽しみ方ですし、本来のボードゲームではないでしょうか。

 

最近はこのデュエルの流れを意識するのに相手ターンの3−5分の展開の中でついつい仕事へ浮気するためそこの意識がとぎれてデュエルになってないこともしばしばあります。非常に残念ですが、今の遊戯王に実は私は面白みを感じていません。3-5分の相手のターンを時間の無駄と考えている時点で、私は遊戯王を楽しめていないのだと思います。

 

ただ、それでもたった一つのデッキを突き詰めてきたわけですし、周りがどうなろうが、自分のデッキを自分の力で考えて、地に足をつけて進んでいこうと思います。

 

フォロワーの中でも遊戯王をやめていく人が割と多いと思う今日この頃ですけど、私は長く細く、密かなプレイヤーとしてやっていくと思います。末長くみまもっていただけると嬉しいです